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【シナリオ2-2】マッチ「仕事のススメ」
   人 物
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 畑中洋司(35)焼肉屋「炭火亭」店長
 和田守(23)ワークス企画・営業マン
 田中栞(21)「炭火亭」学生アルバイト
 藤崎誠(20)「炭火亭」フリーター

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○ファミレス・入り口(中)
   スーツ姿で入ってくる、畑中洋司(33)
   入口脇のフリーペーパーのラックから
   求人情報誌「ワークス」を一冊取り、
   丸めて手に持ち店内へ
店員「いらっしゃいませ。おひとりさまです
   か?」
畑中「…はい。喫煙席で」


○ファミレス・店内
   壁の時計2時8分をさしている。席に
   座りパフェを食べている畑中。テーブ
   ルの脇にはにんじんのグラッセだけが
   残された鉄板のプレートとごはん粒が
   残っている皿。畑中、座席の横におい
   ていた雑誌を机の上に移動させ、パフ
   ェを口に運びながらパラパラページを
   めくる。ページをめくる手がとまる、
   「焼肉屋炭火亭」の求人広告。畑中、
   しばらくじっと見て雑誌を閉じため息。
   畑中、スーツのポケットからタバコと
   マッチ箱を取り出し、マッチを擦りタ
   バコに火をつけ、深く煙を吸い込み、
   ゆっくりと煙を吐き出す。

○「炭火亭」・外観・看板

○「炭火亭」・店内
   店の制服姿の畑中、客に料理提供して
   いる。厨房に戻る畑中の後ろ、小走り
   で近づいてくる田中栞(21)
栞「店長ワークス企画の方からお電話です」
畑中「こんな時間に?」
   壁の時計に目をやる畑中、時計12時28
   分。畑中、眉間にシワを寄せ
畑中「あとにしてくれっていっといて」
栞「はい、わかりました」

○「炭火亭」・厨房
   栞、他男子3人まかない食べている。
○「炭火亭」・レジ
   畑中、手に丸めた雑誌握り締めながら、
   電話をかけている。
畑中「あ、和田くん?…あのさ、もう少し電
 話かける時間考えてもらえる?…結果?…
 もう、はっきりいって全然ダメ…うん…問
 合せゼロってどーゆうこと?」
   畑中、ため息ついて
畑中「和田くん…君さ6万円の広告費稼ぐの
 にうちがどんだけ売上あげないといけない
 かわかる?…ま、いいや。切るよ。もう電
 話して来なくていいから」
   畑中、電話を切ると、手に丸めていた
   雑誌をぎゅっと握りしめる。

○「炭火亭」・入口(外)(夜)
   スーツ姿の和田守(23)、深呼吸をして
   店内へ。自動ドア開くとレジに畑中。
畑中「いらっしゃいませ」
   和田の顔を見て、表情曇らせる畑中。
和田「あの…すいませんでした!」
   いきなり頭を下げる和田。
畑中「(小声で)和田くん困るよ、ここで頭
 さげられても。仕事で来たなら帰って?」
和田「や、食べにきたんです!その…せめて
 売上に貢献させて頂こうと思いまして」
   和田、乞うような目で畑中を見つめる。
畑中「…喫煙席でよろしいですか?」
和田「はい」

○「炭火亭」・店内
   テーブルの上空になった皿が三枚。和
   田水を飲みながらレジの方窺っている。

○「炭火亭」・レジ
   畑中、男女二人の客の会計をして笑顔
   で見送りをしている。店内を見回すと
   客は和田だけ、和田と目があい、畑中
   和田のいる席にゆっくり近づいてくる。
   後ろ手には雑誌を丸めて持っている。
畑中「売上に貢献する気ならせめて他に誰か
 一人くらい連れてきてくれないと」
   畑中、言いながら和田の向かいに座る。
和田「あっ!…すいません…」
   和田、畑中の言葉にシュンとして俯く。
   壁の時計11時48分をさしている。
畑中「…昼間の答え、わかった?」
   和田、顔をあげ無言で首を横にふる。
畑中「うちの店の利益率どん位だと思う?」
和田「…利益率、ですか?…えっと…」
   和田、答えられず言葉に詰まる。
畑中「飲食店の利益率って大体10〜12%位ね。
 わかりやすく10%で計算すると6万の利益
 出すためには×10で60万売らないといけな
 いわけだよね?うち客単25だから、要する
 に240人のお客様が来ないとダメなわけ。
 ちなみに60万って金曜一日分の売上ね。和
 田くん、そんだけの客つれてこれる?」
和田「はあ…」
   和田、いまいちわからないという顔、
   畑中、和田の顔をじっと見ている。
畑中「ピンとこないみたいだね。何が言いた
 いかっていうとね、例えばうちの経営状況
 とか知ってたら、もっと原稿にこだわりも
 って提案できたんじゃないのってこと」
和田「…そうですね」
畑中「顧客たくさん抱えててとても一人一人
 そんなにケアしてられないって思ってたら
 いい仕事なんてできないよね?それはもう
 仕事じゃなくて単なる作業だよね」
和田「…はい」
畑中「広告業もサービス業でしょ?だったら
 お客様のために何ができるか、いかに満足
 してもらうかってのが核で、そこ忘れちゃ
 ったら意味ないと思わない?」
   和田、畑中の話を真剣に聞いている。
   残りの水をぐいっと飲み干して和田
和田「言われた通りです。まだ二年目だって
 いうのに…最初はお客様の為にと思ってや
 ってたはずなのに、数字に追われるうちに
 いつの間にか作業になってました…俺、何
 してんだろ…ほんとすいませんでした」
   畑中、表情を和らげ
畑中「いんだよ。失敗しない人間なんていな
 いしそこから何を学んでどう活かすかが大
 事なわけだからさ」
和田「…はい…ほんとそうですね」
畑中「こっちも、もう電話するななんて、大
 人気ない対応だったよ。すまない」
   畑中、和田と顔見合わせ笑顔になる。
   窓の外、月が見えている。
   畑中、手に丸めていた雑誌をテーブル
   の上で開き「炭火亭」の求人広告が載
   っているページを開き、勢いよく破る。
   その切れ端を丸めて灰皿の上におくと
   畑中、ズボンのポケットからマッチ箱
   を取り出してマッチを一本出して擦り、
   その切れ端に火をつける。
   驚く和田。切れ端が燃えつきると畑中
   視線をあげて和田と目を合わせ
畑中「広告なんて、所詮火をつけたら燃えて
 なくなる紙切れでしかないけど、でも君が
 提供してるのはもっと別のものだよね?」
和田「はい、広告の向こう側にいる読者とク
 ライアントの企業の橋渡しをするのが広告
 の仕事です」
   和田の言葉に、畑中満足そうに頷き
畑中「僕思うんだけどね、広告ってさ顔の見
 えない読者にあてた手紙みたいなもんじゃ
 ない?会ったことない人間に魅力を伝えて、
 会いたいって思わせるってことをやるわけ
 でしょ?そう考えたらさ、仕事に対する取
 組み方も変わってくるんじゃない?」
和田「読者への手紙…」
   和田、突如立ち上がって深々と頭下げ
和田「畑中さん!ありがとうございました!
 今日お話できて、ほんと勉強になりました。
 次はちゃんと畑中さんの役に立てるように
 頑張りますんで、これからもよろしくお願
 いします!」
   畑中も立ち上がって、手を和田に差し出し
畑中「こちらこそよろしく」

○「炭火亭」・入り口(中)
   入口から出て行く和田を見送る畑中、
畑中「ありがとうございました〜」
   ドア越しに和田、何度も頭下げている。

○「炭火亭」・更衣室
   着替えている藤崎誠(20)、すぐ横の
   事務室で、マッチでタバコに火をつけ、
   吸っている畑中を見ながら
藤崎「店長〜」
畑中「ん?なんだ、藤崎」
藤崎「ずっと気になってたんすけど、なんで
 店長っていっつもマッチなんすか?」
畑中「え?…あ、タバコの火?」
藤崎「はい」
畑中「知らない?マッチで火つけた方がうま
 いんだよ。味が全然違う」
藤崎「へ〜でもライターの方が火つけるの楽
 なんじゃないすっか?」
畑中「まあね、でもコレ俺のこだわりだから
 な〜」
藤崎「そうなんすか〜じゃ、オレも昨日から
 タバコ吸えるようになったんで、一本もら
 ってい いっすか?」
畑中「あ、お前二十歳になったの?おめでと
 う。じゃ、成人の祝いに一本」
   畑中そう言って、タバコを一本とマッ
   チ箱を藤崎に手渡す。藤崎、笑顔でマ
   ッチを擦り、タバコに火をつけて煙を
   吸い込む。と、藤崎思い切り咳き込み、
   目に涙浮かべる。畑中、そんな藤崎を
   見ながら、うまそうにタバコを深く吸
   い込み、煙をゆっくりと吐き出す。

THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
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Author:yayowitch
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