2008.06.28 Sat
人 物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
山井絵里香(21)チャットレディ
中島隆(26)会社員・絵里香の客
鈴木葉子(25)エステティシャン・絵里香の
元先輩
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○絵里香のマンション・リビング
カメラのついたパソコンに向かい、話
しかけている山井絵里香(22)の後ろ姿。
帽子を被っている。
...READ MORE▼
絵里香「じゃあまたねー。バイバーイ」
笑顔の絵里香、パソコンはチャットの
画面で相手の男性の顔が映し出されて
いる。笑顔で手を振っている男性。絵
里香も手を振っている。男性が退室す
るとパソコンの電源を落として、絵理
香、ため息をつく。テーブルの脇にお
いてある鏡を覗く絵里香。鏡に映る絵
里香、帽子をとると左のこめかみの少
し上に十円ハゲがある。絵里香、ため
息をつき帽子を深く被る。
壁の時計、9時38分をさしている。
テーブルの上の携帯が鳴り出る絵里香。
絵里香「もしもし」
○エステサロン・事務室
椅子に座り、受話器を片手に電話をか
けている鈴木葉子(25)
葉子「もしもし絵里香?あたし…うん…今、
仕事終わったとこ。元気?…そう…ねえ、
まだ新しい仕事探してないの?」
○絵里香のマンション・リビング
ソファーに寝そべりながら、携帯で電
話をしている絵里香。
絵里香「はい…まだアレ直んなくって…」
○エステサロン・事務室
葉子、受話器から伸びるコードに指を
巻き付けながら
葉子「だからって、そんないかがわしい仕事
なんかしなくても…うち戻ってくれば?」
○絵里香のマンション・リビング
絵里香パソコンについたカメラを見つ
めながら
絵里香「葉子さんの気持ちは嬉しいですけど、
エステサロンはちょっともう…。それに葉
子さんが思う程いかがわしい仕事じゃない
ですよ?寂しい青年男子の話し相手になっ
てあげてるだけですから…これなら帽子被
ったままできるし…はい…ええ、また」
携帯を切る絵里香。テーブルの上の
鏡に自分の姿が映り、鏡をふせる。
○コンビニ・雑誌コーナー(夜)
雑誌を立ち読みしている中島隆(26)自
動ドアが開き、上下ジャージで目深に
キャップを被っている絵里香が入って
くる。そんな絵里香を目で追う中島。
絵里香、お菓子コーナーに行きチョコ
やスナック菓子をカゴに入れている。
絵里香の様子をチラチラうかがってい
る中島。絵里香、ドリンクコーナーで
コーラをとりカゴに入れるとレジへ。
店員「ありがとうございました〜」
絵里香、レジ袋下げて店を出ていく。
中島、読んでいた雑誌を棚に戻し、絵
里香の後を追い、店を出る。
○コンビニ前・歩道(夜)
コンビニ前、信号待ちしている絵里香。
コンビニから出てくる中島。
中島「あの!」
振り返る絵里香、中島の顔見て固まる。
中島「えりな…だよね?」
絵里香、答えずに顔を逸らす。信号が
青になり走り去る絵里香。中島、その
後ろ姿を見ながら立ち尽くしている。
○絵里香のマンション・玄関・外(夜)
ハアハアと息を切らせている絵里香、
鍵を開け中に入るとその場にしゃがみ
込む。
○絵里香のマンション・リビング
鏡に向かい化粧をしている絵里香。最
後に帽子を被り前髪を整える。深呼吸
をしてからパソコンの電源を入れる。
パソコン画面、客の入室を知らせるア
ラームが鳴る。絵里香、鏡に向かい笑
顔を作ってからパソコンに向かい、入
室を許可する。
画面に映し出されたのは中島の顔。絵
里香、顔が強張るが笑って
絵里香「おかえり。今日は遅かったね」
中島「えりな…あの…」
絵里香「今日は何してたの?」
中島「えっと、今日は休みで…あの…」
画面の中、何か言いたげな中島。
絵里香「あたしは今日、お買い物にいってき
たの。この帽子、かわいくない?」
と言いながら帽子をカメラに向ける絵
里香。
中島「あ、かわいいね。てか、えりなって帽
子ほんと好きだよね。いつも帽子被ってる。
似合ってるけど」
絵里香、帽子に手を添えて
絵里香「かわいい帽子見つけるとすぐ買っち
ゃうんだよね〜」
中島「そうなんだ〜」
絵里香「うん。あ、お菓子食べる?」
中島「うん、食べる」
絵里香「ちょっと待っててね」
絵里香、チョコを箱から取り出し、カ
メラに向けて差し出しながら
絵里香「はい、あ〜ん」
画面の中の中島、口をあけて
中島「あ〜ん」
絵里香「チョコっておいしいよね」
中島「うん…えりな、あのさ…」
絵里香「あ、ポテチも食べる?」
ポテトチップスの袋を取り出し、袋に
手をかける絵里香
中島「ねえ、さっき…コンビニで会ったの、
えりなだよね?」
絵里香、袋にかけた手が止まる。
中島「ノーメイクでも、全然かわんないね」
絵里香、答えられず俯いたまま
中島「俺さ、えりなも知ってると思うけど、
甘いものほんと好きでシュークリームとか
目がないじゃん。だからさ、夜中に食べた
くなるとコンビニいって、買ってきて食べ
ちゃったりするんだよね」
絵里香「…じゃあ全部脂肪になっちゃうね」
中島「そう…だから、ほら」
画面の中の中島、上着をめくりあげる
と、ぽっこりお腹が出てくる。
絵里香「うわっ!」
中島「これ、すごいっしょ。ありえないよね。
中年のおっさんかよって感じじゃない?ま
あスーツ着てたらわかんないから、こんな
お腹なの、誰も知らないんだけどさ」
画面の中島、自分のお腹をさする。
中島「女の人は、ノーメイクとか人に見られ
るのやっぱ嫌だよね。ま、でもこれでおあ
いこってことでさ」
絵里香「中島さん…」
中島「あ、えりなのスッピンとこの腹、一緒
にすんなって感じ?」
画面の中の中島、笑って腹を叩く。
絵里香「ははは…」
絵里香、笑いながら目に涙滲んでいる。
中島「俺…もうここ来ない方がいい?」
絵里香「ううん…」
中島「だって、えりな泣いてんじゃん」
絵里香、涙を拭って
絵里香「中島さん、あたしね…」
絵里香、言いながら帽子をとる。
中島「えりな?」
絵里香「見て…これがあたしのホントの姿。
人に見られたくなくて、ずっと帽子被って
隠してたんだ」
中島「…そっか」
絵里香、脱いだ帽子を脇に置いて
絵里香「ひくよね、十円ハゲなんて」
中島「それ…どうしてできたの?」
画面の中の中島、真剣な表情。
絵里香「笑わないの?」
中島「笑うわけないじゃん。そんなになるな
んてよっぽど辛いことあったんじゃない」
絵里香「…うん、実はね…」
○絵里香のマンション・リビング(朝)
壁にかかっているたくさんの帽子。絵
里香その中から一つ帽子を選んで被る。
鏡に向かい、前髪を整える。
○カフェ・レジ
バンダナを巻いてレジにいる絵里香、
入口が開いて中島が入ってくる。
絵里香「いらっしゃいませ」
中島の顔を見て笑顔の絵里香
中島「カフェオレMサイズとこのAセット」
絵里香「店内でお召し上がりですか?」
中島「あ、はい」
○カフェ・窓際のカウンター席
窓の外見ながらボーっとしている中島。
絵里香「お待たせしました。カフェオレのM
サイズとAセットです」
中島「ありがと」
絵里香、笑顔でプレートごと中島の前
に置き、レジに戻る。
中島「あ、絵里香」
絵里香「ん?」
絵里香、立ち止まって振り向く。
中島「今日何時まで?」
絵里香「七時まで」
中島「了解」
レジに向かう絵里香の背中、見つめな
がら中島、カフェオレをすする。
○カフェ・レジ
客が入ってきて、レジに来る。絵里香、
笑顔で
絵里香「いらっしゃいませ」
RETURN▲
THEME:
創作シナリオ - GENRE:
小説・文学
2008.06.28 Sat
手をつないで歩こう
いつまでもどこまでも
疲れたら休もう
いつでもどこでも
君がいたら
結局どっちみちしあわせ
ゆっくりじっくり
今日もよろしく
2008.06.22 Sun
降り続く雨
きっと僕の代わりに
泣いてくれてる
強がりで
泣けない僕の代わり、
音を立てて泣いてんだ
ほんとは
言いたくなんてなかったよ
サヨナラなんて
でも言えなかった
そばにいて欲しいって君に
強がって笑顔作った
この雨がやんで
空が晴れても
僕の心はきっと晴れない
梅雨が明けても
多分、僕の空は曇ったまま
君がここにいないから…
2008.06.21 Sat
人 物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
畑中洋司(35)焼肉屋「炭火亭」店長
和田守(23)ワークス企画・営業マン
田中栞(21)「炭火亭」学生アルバイト
藤崎誠(20)「炭火亭」フリーター
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○ファミレス・入り口(中)
スーツ姿で入ってくる、畑中洋司(33)
入口脇のフリーペーパーのラックから
求人情報誌「ワークス」を一冊取り、
丸めて手に持ち店内へ
店員「いらっしゃいませ。おひとりさまです
か?」
畑中「…はい。喫煙席で」
...READ MORE▼
○ファミレス・店内
壁の時計2時8分をさしている。席に
座りパフェを食べている畑中。テーブ
ルの脇にはにんじんのグラッセだけが
残された鉄板のプレートとごはん粒が
残っている皿。畑中、座席の横におい
ていた雑誌を机の上に移動させ、パフ
ェを口に運びながらパラパラページを
めくる。ページをめくる手がとまる、
「焼肉屋炭火亭」の求人広告。畑中、
しばらくじっと見て雑誌を閉じため息。
畑中、スーツのポケットからタバコと
マッチ箱を取り出し、マッチを擦りタ
バコに火をつけ、深く煙を吸い込み、
ゆっくりと煙を吐き出す。
○「炭火亭」・外観・看板
○「炭火亭」・店内
店の制服姿の畑中、客に料理提供して
いる。厨房に戻る畑中の後ろ、小走り
で近づいてくる田中栞(21)
栞「店長ワークス企画の方からお電話です」
畑中「こんな時間に?」
壁の時計に目をやる畑中、時計12時28
分。畑中、眉間にシワを寄せ
畑中「あとにしてくれっていっといて」
栞「はい、わかりました」
○「炭火亭」・厨房
栞、他男子3人まかない食べている。
○「炭火亭」・レジ
畑中、手に丸めた雑誌握り締めながら、
電話をかけている。
畑中「あ、和田くん?…あのさ、もう少し電
話かける時間考えてもらえる?…結果?…
もう、はっきりいって全然ダメ…うん…問
合せゼロってどーゆうこと?」
畑中、ため息ついて
畑中「和田くん…君さ6万円の広告費稼ぐの
にうちがどんだけ売上あげないといけない
かわかる?…ま、いいや。切るよ。もう電
話して来なくていいから」
畑中、電話を切ると、手に丸めていた
雑誌をぎゅっと握りしめる。
○「炭火亭」・入口(外)(夜)
スーツ姿の和田守(23)、深呼吸をして
店内へ。自動ドア開くとレジに畑中。
畑中「いらっしゃいませ」
和田の顔を見て、表情曇らせる畑中。
和田「あの…すいませんでした!」
いきなり頭を下げる和田。
畑中「(小声で)和田くん困るよ、ここで頭
さげられても。仕事で来たなら帰って?」
和田「や、食べにきたんです!その…せめて
売上に貢献させて頂こうと思いまして」
和田、乞うような目で畑中を見つめる。
畑中「…喫煙席でよろしいですか?」
和田「はい」
○「炭火亭」・店内
テーブルの上空になった皿が三枚。和
田水を飲みながらレジの方窺っている。
○「炭火亭」・レジ
畑中、男女二人の客の会計をして笑顔
で見送りをしている。店内を見回すと
客は和田だけ、和田と目があい、畑中
和田のいる席にゆっくり近づいてくる。
後ろ手には雑誌を丸めて持っている。
畑中「売上に貢献する気ならせめて他に誰か
一人くらい連れてきてくれないと」
畑中、言いながら和田の向かいに座る。
和田「あっ!…すいません…」
和田、畑中の言葉にシュンとして俯く。
壁の時計11時48分をさしている。
畑中「…昼間の答え、わかった?」
和田、顔をあげ無言で首を横にふる。
畑中「うちの店の利益率どん位だと思う?」
和田「…利益率、ですか?…えっと…」
和田、答えられず言葉に詰まる。
畑中「飲食店の利益率って大体10〜12%位ね。
わかりやすく10%で計算すると6万の利益
出すためには×10で60万売らないといけな
いわけだよね?うち客単25だから、要する
に240人のお客様が来ないとダメなわけ。
ちなみに60万って金曜一日分の売上ね。和
田くん、そんだけの客つれてこれる?」
和田「はあ…」
和田、いまいちわからないという顔、
畑中、和田の顔をじっと見ている。
畑中「ピンとこないみたいだね。何が言いた
いかっていうとね、例えばうちの経営状況
とか知ってたら、もっと原稿にこだわりも
って提案できたんじゃないのってこと」
和田「…そうですね」
畑中「顧客たくさん抱えててとても一人一人
そんなにケアしてられないって思ってたら
いい仕事なんてできないよね?それはもう
仕事じゃなくて単なる作業だよね」
和田「…はい」
畑中「広告業もサービス業でしょ?だったら
お客様のために何ができるか、いかに満足
してもらうかってのが核で、そこ忘れちゃ
ったら意味ないと思わない?」
和田、畑中の話を真剣に聞いている。
残りの水をぐいっと飲み干して和田
和田「言われた通りです。まだ二年目だって
いうのに…最初はお客様の為にと思ってや
ってたはずなのに、数字に追われるうちに
いつの間にか作業になってました…俺、何
してんだろ…ほんとすいませんでした」
畑中、表情を和らげ
畑中「いんだよ。失敗しない人間なんていな
いしそこから何を学んでどう活かすかが大
事なわけだからさ」
和田「…はい…ほんとそうですね」
畑中「こっちも、もう電話するななんて、大
人気ない対応だったよ。すまない」
畑中、和田と顔見合わせ笑顔になる。
窓の外、月が見えている。
畑中、手に丸めていた雑誌をテーブル
の上で開き「炭火亭」の求人広告が載
っているページを開き、勢いよく破る。
その切れ端を丸めて灰皿の上におくと
畑中、ズボンのポケットからマッチ箱
を取り出してマッチを一本出して擦り、
その切れ端に火をつける。
驚く和田。切れ端が燃えつきると畑中
視線をあげて和田と目を合わせ
畑中「広告なんて、所詮火をつけたら燃えて
なくなる紙切れでしかないけど、でも君が
提供してるのはもっと別のものだよね?」
和田「はい、広告の向こう側にいる読者とク
ライアントの企業の橋渡しをするのが広告
の仕事です」
和田の言葉に、畑中満足そうに頷き
畑中「僕思うんだけどね、広告ってさ顔の見
えない読者にあてた手紙みたいなもんじゃ
ない?会ったことない人間に魅力を伝えて、
会いたいって思わせるってことをやるわけ
でしょ?そう考えたらさ、仕事に対する取
組み方も変わってくるんじゃない?」
和田「読者への手紙…」
和田、突如立ち上がって深々と頭下げ
和田「畑中さん!ありがとうございました!
今日お話できて、ほんと勉強になりました。
次はちゃんと畑中さんの役に立てるように
頑張りますんで、これからもよろしくお願
いします!」
畑中も立ち上がって、手を和田に差し出し
畑中「こちらこそよろしく」
○「炭火亭」・入り口(中)
入口から出て行く和田を見送る畑中、
畑中「ありがとうございました〜」
ドア越しに和田、何度も頭下げている。
○「炭火亭」・更衣室
着替えている藤崎誠(20)、すぐ横の
事務室で、マッチでタバコに火をつけ、
吸っている畑中を見ながら
藤崎「店長〜」
畑中「ん?なんだ、藤崎」
藤崎「ずっと気になってたんすけど、なんで
店長っていっつもマッチなんすか?」
畑中「え?…あ、タバコの火?」
藤崎「はい」
畑中「知らない?マッチで火つけた方がうま
いんだよ。味が全然違う」
藤崎「へ〜でもライターの方が火つけるの楽
なんじゃないすっか?」
畑中「まあね、でもコレ俺のこだわりだから
な〜」
藤崎「そうなんすか〜じゃ、オレも昨日から
タバコ吸えるようになったんで、一本もら
ってい いっすか?」
畑中「あ、お前二十歳になったの?おめでと
う。じゃ、成人の祝いに一本」
畑中そう言って、タバコを一本とマッ
チ箱を藤崎に手渡す。藤崎、笑顔でマ
ッチを擦り、タバコに火をつけて煙を
吸い込む。と、藤崎思い切り咳き込み、
目に涙浮かべる。畑中、そんな藤崎を
見ながら、うまそうにタバコを深く吸
い込み、煙をゆっくりと吐き出す。
RETURN▲
THEME:
創作シナリオ - GENRE:
小説・文学
2008.06.16 Mon
人 物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜田由紀子(30)主婦
浜田竜次(31)会社員・由紀子の夫
川崎真奈美(30)会社員・由紀子の友人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○浜田家・寝室
スーツを脱ぎ、浜田由紀子(30)に渡す浜
田竜次(31)。スーツを受け取りポケット
の中を調べる由紀子、右のポケットに
バーバリーのブルーレーベルのハンカ
チが入っているのを見つけ、
由紀子「なんかハンカチ入ってるけど?」
...READ MORE▼
浜田「あれ?なんだろ?」
浜田ハンカチを見て慌てて目を逸らす。
由紀子、ハンカチを広げながら
由紀子「これもしかして真奈美のじゃ…」
浜田「あ…いや、えっと、たぶん同じ部署の
子のじゃないかな。帰りに拾ってそのまま
誰のか聞くの忘れてたんだ、しまったな」
由紀子「…そう」
由紀子、ハンカチをじっと見つめなが
らハンカチを折り畳んでいる。浜田、
そんな由紀子からハンカチを奪って
浜田「明日、また会社持ってくから」
と言いながら自分でスーツのポケット
にハンカチをしまう浜田。そんな浜田
の背中、じっと見つめている由紀子。
○カフェ・テラス席
パンツスーツ姿の川崎真奈美(30)と由紀
子が向き合って座っている。テーブル
の上には空の皿。由紀子の前には半分
以上減っているアイスティー、真奈美
の前には減っていないホットコーヒー。
由紀子「あやしいと思わない?」
真奈美「そう?考えすぎじゃない?由紀は昔
っから妄想力豊かだね〜。ま小説書くには
それでちょうどいいのかもしんないけど」
真奈美、笑いながら由紀子を見てコー
ヒーを一口飲む。由紀子、すでになく
なりかけているアイスティーを音を立
ててストローで吸い上げながら、真奈
美を上目遣いで見ている。
真奈美、ふと腕時計を見て
真奈美「あ、やばっ。もう会社戻らなきゃ」
由紀子、携帯電話の待受画面で時間を
確認する。12:58と表示。
由紀子「もうそんな時間?働く女は大変ねー。
あ、今日は私がおごっとくわ。今度はゆっ
くり夜に会おうね」
真奈美、椅子に置いてあったバーバリ
ーのバッグを肩にかけて立ち上がり
真奈美「うん、またね〜」
足早に店を出ていく真奈美。その後ろ
姿を見ながら小さくため息つく由紀子。
○オフィス・エレベーター(中)
真奈美と浜田だけが乗っている。浜田、
スーツのポケットからハンカチ取り出
して真奈美に差し出す。
浜田「これ、おまえの?」
真奈美「あっ!う〜ん、ちょっとまずいな」
真奈美、独り言のようにそう呟きなが
ら、ハンカチを受け取る。と、エレベ
ーターの扉が開き、真奈美降りていく。
○浜田家・居間
ソファーで本を読んでいる由紀子。本
には少しくたびれたブックカバー。し
おりを挟んで本を閉じため息つく由紀
子、ブックカバー触りながら、じっと
見つめている。そこへ携帯のメール着
信音。待受に「竜ちゃん」と表示。メ
ール読んで一旦携帯を閉じる由紀子。
もう一度携帯を開き、受信メールの一
覧をスクロールしながら見ている由紀
子、その一覧には竜ちゃんからのメー
ルが並んでおり、そのタイトルは「遅
くなります」「残業なので飯いりませ
ん」…といった帰りが遅いのを知らせ
るメールばかり。由紀子、携帯を閉じ
ソファーに投げ捨て、ブックカバーの
本を持つ手にぎゅっと力を込める。ブ
ックカバークローズアップ。
○(回想)大学・キャンパス
新品のブックカバーがつけられた本。
段々全体が映し出されていくと、それ
を由紀子 が小脇に抱えていて、真奈
美 ・浜田 と並んで歩いている。
由紀子「これ、ありがとね」
由紀子、笑顔でブックカバーを真奈美
の前に掲げる。
真奈美「いやいや。たいしたもんじゃないけ
ど。由紀、本読むの好きだもんね」
由紀子「うん、さすが真奈美よくわかってる。
で、コレ。私から。誕生日おめでと」
由紀子、プレゼントを真奈美に渡す。
真奈美「わ〜ありがと。ってほんとは今日一
日何もらえるか楽しみにしてたんだけど」
浜田、両手の親指をズボンのポケット
に突っ込み、二人を横から見ていて
浜田「どうせバーバリーにするなら、もっと
バッグとか高いもんにすりゃいいのに」
由紀子「もう!竜ちゃんうるさいよ」
真奈美「え、バーバリーなの?」
由紀子「うん、真奈美といえばバーバリーし
かもう思い浮かばなくて」
真奈美「いや〜嬉しい。ありがと」
由紀子「バッグは将来、印税稼げるようにな
ったらプレゼントさせていただくわ」
真奈美「はい先生、期待してますよ」
由紀子、真奈美と顔見合わせ爆笑。
(回想終わり)
○浜田家・食卓
ひとりカップラーメンすする由紀子。
居間のテレビから漏れる笑い声とラー
メンをすする音だけが聞こえている。
食卓の脇にはノートパソコン。画面は
ブログ、タイトル…ゆきごころ、管理
人…ゆき、カテゴリーには、恋愛パズ
ル(全50話)、桜日和(全45話)、夜
明け前(全30話)…と小説のタイトル
が並んでいる。由紀子、箸の先を口に
くわえたまま、新規投稿画面開き、キ
ボード打ち始める。
○オフィス・玄関(外)
自動ドア開き出てくる真奈美と浜田。
真奈美「じゃ、また明日」
浜田「ああ」
○浜田家・居間
ソファーでうたた寝している由紀子。
○浜田家・食卓
向き合って座り朝食中の由紀子と浜田。
由紀子「今度の日曜の夜あけといてね?」
浜田「ああ、わかってるよ」
食器を片付ける由紀子、通り過ぎた冷
蔵庫にあるカレンダー、4月20日、日
曜に赤字で「BD」と書かれている。
○オフィス・フロア
昼休みデスクでサンドイッチ食べなが
ら仕事している真奈美。携帯鳴り出る。
真奈美「もしもし?…あ、由紀?…うん……
今度の日曜?うん、大丈夫…うん、わかっ
た…6時ね…はーい…うん、じゃまたね」
卓上カレンダー、4月20日の日曜に赤
丸ついて「由紀BD」と書かれている。
○浜田家・キッチン
ケーキの仕上げをしている由紀子。
○浜田家・食卓
由紀子と浜田が隣に座り、由紀子の向
かいの席に真奈美が座っている。
三人「カンパーイ」
乾杯してワインに口をつける三人。
真奈美「由紀、誕生日おめでと〜」
グラスを由紀子に向けかざす真奈美。
由紀子「ありがと〜。自分で全部用意してん
のがなんかおかしいんですけど」
浜田「ま、その点は置いといて…。さ食べよ
うぜ。いただきまーす」
浜田の言葉で三人とも料理に箸つける。
○浜田家・居間
ソファーに座っている真奈美と浜田、
何かヒソヒソ話している。キッチンの
由紀子、それを見ながらケーキを乗せ
たトレイを居間迄運び少し乱暴におく。
真奈美「わ〜おいしそ」
浜田「買ってくるよりうまいから家じゃケー
キはいつも由紀子の手づくりだよな」
由紀子、笑顔で話し掛ける二人とは違
い不機嫌な表情、再びキッチンに戻り、
包丁と小皿、フォークを持ってきて、
包丁をケーキの真ん中に突き刺す。
由紀子「何二人でコソコソやってんのよ?」
浜田「由紀子!ちょっ、待て。落ち着けよ」
浜田包丁をケーキから抜いて、真奈美
に視線送る。頷く真奈美、バッグから
茶封筒とりだし机の上に置く。
由紀子「なによ?」
真奈美「いいから、中見てみて」
由紀子、真奈美と浜田の顔を怪訝な顔
つきで見ながら封筒をたぐり寄せ中身
を取り出す。一冊の本出てくる。タイ
トルは恋愛パズル、著者はゆき。由紀
子、驚いた表情で浜田と真奈美を見る。
真奈美「今日に間に合わせるの結構大変だっ
たんだからね」
浜田「隠し事してたのはごめん。謝るよ。お
前をびっくりさせたくてさ」
由紀子「竜ちゃん…」
真奈美「仕事の後、毎晩会社残って編集作業
してたんだけど、間に合わせる為に竜次に
も手伝ってもらってて。ごめんね、変な誤
解させちゃって…ただうちらは由紀の喜ぶ
顔見たかっただけなんだ」
由紀子「真奈美…ありがと…」
涙浮かべる由紀子、そんな由紀子にバ
ーバリーのハンカチを差し出す真奈美。
浜田、二人をニヤニヤして見ながら
浜田「次は、ほんとに本出せるように頑張れ
よ。期待してますよ、先生」
RETURN▲
THEME:
創作シナリオ - GENRE:
小説・文学
2008.06.16 Mon
偽ることは簡単
言葉はいくらでも嘘をつける
でも、嘘は必ず嘘だとわかる
そして誰かを傷つける
優しい嘘も確かにある
それは否定しないけど
できれば偽らざる自分で
あなたの前に立っていたい…
2008.06.15 Sun
君が元気ないってことを
いつしかblogで知るようになった
まるでネットでしか知らない人みたいに
僕は現実の君から離れていた
何に悩み何に苦しみ
君が涙を流しているのか
まるでケータイ小説でも読んでるみたいに
流し読みしてる
きっともう僕の助けは必要じゃないんだね
今じゃただの傍観者
元気かな?ってメールするだけのことが…
なんだかすごく躊躇われるよ
2008.06.14 Sat
「頑張って」なんていえないくらい
君はもう十分頑張ってる
「もう頑張らないで」っていいたいけど
きっと君には頑張らないなんてことはできないよね
いつだって全力疾走な君だから
いつだってパワー全開な君だから
それが君の魅力で
それがあたしの元気の素で
だからあたしは
「頑張って」とも「頑張らないで」とも言わずに
帰ってくる君にただ「お疲れさま」と言って
その大きな背中をぎゅっと、抱きしめてあげるね
2008.06.04 Wed
そっと触れてみる
あなたの手に
あなたの心に
さりげなくそっと、そうっと
そっと触れてみる
あなたの髪に
あなたの芯に
壊さないようにそっと、そうっと
そっと触れてみる
あなたの背中に
あなたの過去に
傷つけないようにそっと、そうっと
けれどそうしている間に、
あなたをぎゅっと抱きしめた他の誰かが
あなたの全てに触れていた
2008.06.04 Wed
あなたが見ているものを
わたしも見ていたかったけど
いつの間にか見えなくなった
目の前に壁立ちふさがった
あなたとわたし隔てる壁
いつしかわたし乗り越えるのをあきらめた
壁の向こうで笑うあなたの声を
わたしはただ聞いていた
いつしかわたしは別の誰かと笑い
壁に背を向けていた
あなたはあなたの世界を生き
わたしはわたしの道をゆく
2008.06.03 Tue
最後、と聞くとどうして
こんなにもセツナイのだろう
最後の夏
最後の雨
最後の夜
最後のキス
最後の言葉
あなたの最後の言葉が
どうしても思い出せない
あの夏の日の
雨降り止まぬ夜の
生暖かい空気感は
いまだに消えないのに
最後のキスの感触は
いまだに拭い去れないのに
あなたの最後の言葉だけは
まるでそこだけ記憶が抜け落ちたように
どうしても思い出せない
多分、それは二人の最後を
受け止めたくない私がいたから…