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『Season〜君想う日々〜』vol.15
第三章 秋・色づき

vol.15

 聡美があんなこと聞くから別れて一人歩きながら、蓋をしていた香莉のことを思い出してしまっていた。

 …結局香莉と付き合ったのは半年くらいだった。彼女は高校卒業後、福祉の専門学校にいった。彼女らしい選択だと思った。でも暇な大学生の俺とは違い専門学校は、実習やレポートなど日々忙しく、連絡をとる余裕がなくなり、彼女は申し訳ないと言って結局、大学一年の夏を迎える前に別れることになった。俺はまだ全然彼女が好きだったし、彼女が専門学校を卒業して余裕ができたらまたつきあえばいいぐらいに思っていた。けれどそれから二度目の秋を迎える頃には、風の噂で香莉ができちゃった結婚をしたと聞き、俺は香莉の記憶を封印することにした。

 時の流れは人の辛い記憶を和らげ、楽しかった思い出だけを鮮やかに浮かび上がらせる。俺はまだ、彼女のことを過去にできないでいた。

「田崎、そいや今彼女とかいんの?」
 翌日、学食で榊と昼飯を食っていると榊がラーメンを啜りながらふいに聞いてきた。なんだってこんなに同じようなことを聞かれるんだろう。
「今はいないよ。てかお前もだろ?まあとりあえずガンダム以外の趣味見つけた方がいんじゃね?」
 俺は会話を終わらせる為に榊の弱点をわざとついた。
「うるせー。お前に言われたくないわ。あでも最近ガンダム以外にはまってるもんあるよ?」
「え?何?」
「今更エヴァ。こないだ深夜番組見てたらなんか特集やっててさ、今最初から全部借りて見てるとこ」
 榊が目を輝かせていった。
「それガンダムとあんま変わらないから」

 思惑通り話はそれた。今はもう香莉のことはあまり考えたくなかった。

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『Season〜君想う日々〜』vol.14
第三章 秋・色づき

vol.14

 昔からよくクラスの女子に告られてきた。別に自慢したいわけじゃなくて、一体俺の何を見て好きだとかつきあいたいだとか言ってるのか、正直よくわからなくて…大学入ってからもよく女には困らないだろみたいなこと言われてきたけど、実際彼女と呼べるのはたった一人だけで…。

「田崎、おまえもったいないよ。とりあえずつきあっとけばいいじゃん」
 中学、高校で女子からの呼び出しを受けては断って帰ってくるたびに友達から恨めしそうな顔で言われた。
「でも俺にその気がないのに悪いじゃん」
 たいていそんな言葉を返して、周りの冷やかしを受け流してきた。

 そんな俺がたった一人、自分から告って付き合ったのは高三のときに同じクラスだった吉本香莉だけ。彼女はいつも同じバスに乗ってた。たいてい本を読んでいて、少し俯き加減の彼女の横顔を俺は毎日、見ていた。

 彼女を意識したきっかけは三年の始業式の朝。その日は雨でバスの中は湿気で蒸していた。彼女は途中で乗ってきた女の人に当たり前のように席を譲った。お年寄りに譲るならわかるけど…そう思ったらなんだか気になって、じっと見てしまった。席を譲られた女性は、二つ先のバス停で降りていった。その人が俺の横を通りすぎていく時、鞄に何かピンクのバッジみたいのがついているのが見えた。その時はわからなかったけど、後日、テレビの番組でそれがお腹のまだ目立たない妊婦がつけるキーホルダーみたいなもので、彼女がそれに気付いて席を譲ったのだとわかるとその周りへのさりげない配慮に、一気に彼女に興味を持った。

 クラス替えがあり新しい教室に入ると彼女がいた。俺は心の中で小躍りしていた。それでも、ちゃんと話し掛けれたのは席替えをして隣の席になった六月、更衣の時期を過ぎて夏服になってからだった。

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『Season〜君想う日々〜』vol.13
第三章 秋・色づき

vol.13

京子が田崎くんを好きになったのはすぐにわかった。
夏休み明け、彼女の彼を見る目は恋する女のそれだった。
今まで化粧なんてしなかったコが化粧をし始めたり、
眼鏡をコンタクトに変えたり、それは明らかに恋をしているサイン。

多分…きっかけはゼミ合宿の夜、
私が席を外し田崎くんと京子が二人になった空白の10分間。
何を話していたのか、結局田崎くんに聞いても教えてもらえなかった。
そして、その翌日田崎くんが京子に声をかける場面を幾度となく見かけ、
私は急に焦りを感じ始めた。

私の方が先に好きになったのに、
私のが絶対オシャレでかわいいのに…
後から好きになった冴えない京子なんかに
田崎くん、とられたくない。

「ねえ、田崎くんて彼女いつからいないの?」
ゼミが終わり、次の授業に向かう京子と榊くんをよそに
私はいつものように学食に田崎くんを誘いお茶をしながら
さりげなく聞いていた。
「んーいつだろ…去年の春まではいたんだけど、
 そーいやもう一年以上いないわ」
田崎くんがなにか思い出しながら言った。
昔の彼女でも思い浮かべてるのかな…。

「え?そーゆう聡美は?」
「え?あたし?」
「人に聞いといて自分は内緒とかナシな」
「…あたしまだ彼氏できたことないんだけど…って言ったら驚く?」

正直に答える必要なんてない。
私はギャップで田崎くんの気をひくために嘘をついた。
「へー意外だな。で、どーゆうやつがタイプなの?」
田崎くんが身を乗り出して聞いてきた。
いい調子、いい調子。

「なんだろな…好きになった人がタイプかな」
「それいまいち答えになってないんだけど」
「だってほんとにそうなんだもん」
「え、今いんの?好きなやつ」
「うん、まあね」
「へー誰?俺知ってるやつ?」
「え…うん、まあ…」

言葉を濁しながら田崎くんを見つめた。
田崎くんはそれ以上何も聞かなかった。
私もそれ以上何も言わなかった。

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「コイノオト」
ときめきは一瞬
君を見た瞬間
恋が始まる音がした

鼓動 高鳴る
瞳孔 見開く
指先 震える

君想うだけで
涙溢れくる
なんかもう好き過ぎてさ

君の笑み
君の声
君の手

独り占めしたい
でもできない
好きって一言いえなくてさ

ズキン
胸痛む音がする
切なさだけが加速してく…

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「君想う」
重なる唇
目を閉じて君を想う
今ここにいない君のことを

触れる指先
目を閉じて君を想う
もうここにいない君のことを

他の誰かの隣で
僕はただ君を想う
心の中に居座る君のことを…

目の前にいる相手に
申し訳ないと思いながら
僕はやっぱり君のことを想う

君の口づけを
君のぬくもりを
どうしても忘れられなくて…

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『Season〜君想う日々〜』vol.12
第三章 秋・色づき

vol.12

初めて彼を見た時から、絶対彼氏にしようって決めてた。

一目惚れだった。

男なんて顔がすべてだと思う。
性格が一番大事だなんていうのは、
かっこいい男を捕まえられない女の
負け惜しみでしかないってのが私の持論。
まあもちろんそんなこと、友達の前では口にしないけどね。

「聡美はどういう人がタイプなの?」
「そうね〜優しい人かな」

聞かれたら、だいたいそう答えておけば角も立たない。
これは高校までに痛い目見て身を持って学んだこと。
けど去年同じゼミで仲良くなった子の彼氏をとっちゃって…
気まずくなって…私は彼女と違うゼミをとった。
一年の時の人間関係をリセットしたくて…。

ちなみにいうとその友達の彼氏は
私が友達から奪ったっていうか、一目惚れされただけ。
私からとろうと思ったわけじゃない。
まあ友達から見たら大差ないのかもしんないけど。
結構かっこよかったし、断る理由もなくて
その人とつきあったけど結局、三ヶ月で別れた。
そいつはつきあうとすぐに体を求めてきた。
私はトラウマがあって…正直その行為が好きじゃない。
拒み続けてるうちにそいつは結局、元カノとよりを戻した。
友達は勝ち誇ったような顔で私を見てたけど、
私はたいした男じゃなかったんだと自分に言い聞かせた。

田崎くんと仲良くなる為、私は率先して
ゼミのコンパや合宿の幹事をやった。
作戦は見事的中し自然に仲良くなり一緒にいるようになった。

田崎くんはほんとにキレイな顔をしていて、
見ているだけで目の保養になった。

でもそれだけじゃ満たされない…

彼を独り占めしたい…。

今まではだいたい相手から告られてつきあうってパターンで
私は一度も自分から告白したことはなかったから…
決定的な一言が言えないまま夏が過ぎ、
結局、木々が赤く色づく頃に起きた
ある変化が私をつき動かすことになった。

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『Season〜君想う日々〜』vol.11
第三章 秋・色づき

vol.11

 夏休み明け、ゼミに行くと京子は眼鏡をかけていなかった。服装も髪型もたいして変わっていないはずなのに、なんだか前にゼミ合宿で会った時とは別人のような気がした。
「京子ちゃんコンタクトにした?眼鏡かけない方がいーじゃん」
 隣にいた田崎が先に声をかけた。そうか…コンタクト…でも僕は…眼鏡でもかわいいと思ってたんだけどな…ん?かわいい?

「なに?榊くん。なんか変?」
 考え事をしながら京子を見ていたら、ふと京子と目があってしまった。目があった瞬間、京子の周りにぶわっと花が咲いてるように見えた。なんだこの感覚…僕は目をこすりながら
「いやあ…なんか眠いなあと思って」
 そう言って少し不自然に視線をそらし、意味もなくカバンから携帯を取り出していた。俯きながら、妙にドキドキしている自分の鼓動が隣にいる京子にばれないようにゆっくりと深呼吸をした。でもそれを意識すればするほど鼓動は早くなっていくみたいだった。
 ゼミの授業は毎回発表者が一人いて、自分が興味のあるテーマについてレジュメを作ってきて配布・発表し、それに対して教授がコメントしたり、他の学生が質問したり意見を述べたりして進行していく。教室内は15人の学生がコの字型に並べられた机に座っていて、視線はコの字の最初の角にいる発表者に集められた。京子が発表者なのをいいことに僕は好きなだけ京子の横顔を見ていた。

 眉にかかる柔らかそうな前髪、ほんのり色づいている頬、艶めいて見える唇…。まだ夏の余韻を残している暑い日差しが窓から差し込んできて、京子が口を動かす度その口元がキラリと光って見えた。その度にまた京子の周りに花が咲いて見えた。あ…そうか…いつもと違って見えるのは化粧をしているせいなんだ…。今までは化粧なんてしてなかったはず…。
 僕はそう思いながら教室の中を見回した。教室には京子の声だけが響いている。他のみんなは机の上に広げた京子のレジュメに視線を落としていた。僕は京子以外の女子の口元を見た。どれも例外なく口紅で彩られている。でも京子のそれを見た時のように心の内側がざわつくことはなかった。

 再び京子の艶めく唇に視線を移していると、頭の片隅に「女は化粧で顔が変わる」とどこかで聞いたことのある台詞が浮かんできた。ただそれを実際目の当たりにしたのは初めてで、正直僕は戸惑っていた。ノーメイクで飾らない京子も好きだったのに…まあ、変わってく京子を見るのも楽しいけど。ん、楽しい?

 こうして心の中に芽生えた感情が、最初からすぐに恋なのだと気付いていたら、もっと違う形で僕は…君に近づけていたのかな…。ただしばらく恋愛から遠ざかっていた僕が、それが恋だと気付いたのは皮肉にも君が他の誰かに恋をしているのを知った時…だったんだよね。

 大学のキャンパスの木々が赤く色づいていくのと同時に僕の気持ちも色づいていった。でも紅葉に例えた次の瞬間、急に胸が痛んだ。この色づいた葉と同じように後は枯れて落ちてくだけなのかなって…そう、思えて…。

THEME:自作連載小説 - GENRE:小説・文学
小説:『Season〜君想う日々〜』】 | CM(0) | top↑
「キミノソバニ」
あと少しだけここにいさせてください
あと少しだけ君のそばに

明日の朝には旅立つから
今夜だけ君のそばに

叶わない想いはゴミ箱に捨てていくから
今だけ君のそばに

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THEME:自作詩 - GENRE:小説・文学
ボクの詩:切愛】 | CM(4) | top↑
「証拠」
夕暮れの手前
雲がうっすら色づき始める
風が少し冷たくなって
頬をそっと撫でてゆく

君を好きだという気持ち、このまま
空に溶けて薄く広がってゆけばいいのに
そうしてそのまま跡形もなく
君を忘れてしまえたらいいのに

いつまでもいつまでも
君の存在は僕の中に留まっていて
どんなに吐き出しても
奥から尽きることなく這い出してくる

好きの反対は嫌いじゃない
そう、僕はまだ君に囚われてる
嫌いだと感じるのは
まだ、僕の中に君がいる証拠

君を意識している証拠
君を愛してた証拠
君の爪痕
夢の跡…

THEME:自作詩 - GENRE:小説・文学
ボクの詩:切愛】 | CM(2) | top↑
「余計なお世話」
きっと
求めるのは恋で
与えるのが愛で
互いに求め合い、与え合うのが恋愛というのでしょう

今あなたがしているのは
どれですか?

私はただ遠くからあなたのそれが恋愛であれと願うばかりです
例え余計なお世話だとしても…

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あたしの詩:貴方へ】 | CM(2) | top↑
【シナリオ1-7】ラブシーン「桜の記憶」
<人 物>
 中原ゆり(25)OL
 里井涼介(24)ゆりの恋人

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○公園
   ブランコの脇、風に揺れる満開の桜。
   その向かいにあるベンチに中原ゆり(25)
   が座っていて桜をじっと眺めている。

○東京駅・東海道新幹線ホーム
   新幹線降り立ち走り出す里井涼介(24)。

○公園
   ゆりベンチに座ったまま本読んでいる。

○(回想)ゆりのマンション・部屋内・居間
   桜の映像映っているテレビ画面、開花
   宣言のニュース流れている。
   タイトル「一週間前」
   ソファーもたれかかり床にあぐらをか
   いて座っている里井。ソファに寝そべ
   っているゆりがその肩に顎をのせて
ゆり「ねえ、今度の休みお花見いかない?」
   里井振り返らずゆりの頭を撫でながら
里井「…ええよ。付き合ったるわ」

○公園(朝)
   鳥のさえずりの中、朝日浴びている桜。

○ゆりのマンション・部屋内・玄関・中
   靴をはいているゆり。鳴り響く携帯着信
   音。ゆり慌てて鞄から携帯取り出す。
   待受には里井の名前と9:53の表示。

○新幹線・車内・デッキ
   携帯で電話をかけている里井。開いて
   いるドアからホームの新大阪駅の看板
   見える。

○ゆりのマンション・部屋内・玄関
   携帯で話しながら立ち尽くしているゆ
   りの背中。
ゆり「そう…わかった。じゃあ…」
   携帯切り力無く腕を下ろすゆり、靴脱い
   で部屋に戻り、折り畳んだ携帯握り
   しめたままベッドに俯せに倒れ込む。

○新幹線・車内・デッキ
   携帯切り、壁にもたれかかって深呼吸
   する里井、流れていく車窓。(回想終わり)

○公園
   砂場で遊んでいる子供達と立ち話して
   いる母親達でにぎわっている。その光
   景をベンチ座ったままボーッと眺め
   ているゆり、大きなため息。視線の先
   ブランコ脇の桜の木に移すゆり、しば
   らく眺めた後、携帯を鞄から取り出す。

○新幹線・車内・座席
   窓際の席に座っている里井。手にして
   いた携帯震え、ゆりからのメール着信。
   開くと件名が一人花見中で桜の写真の
   み表示される。クスリ笑う里井の口元。

○公園
   ゆっくりと雲が流れてゆく青空。
   急に強い風吹き、桜の花びら舞い散る。
   ベンチに座り本を読んでいるゆり。そ
   の本の上に花びらが落ちる。

○駅・改札出口
   里井改札から出てきて勢いよく走り出す。

○公園
   ベンチに座っていて本閉じるゆり、目
   をつぶり余韻に浸っている。向かいの
   ブランコに人影。驚くゆり。ブランコ
   に座っている里井、ゆりを見て笑む。
   立ち上がる里井、ゆりの手から落ちる
   本。ゆり、里井に駆け寄る。
里井「一人花見させてごめんな。昨日夜にな
 ちょっと実家帰っててん」
ゆり「えーなんでよ?」
里井「親父に結婚したい人おるってゆうてきた」
   涙ぐむゆりをニカッと笑って抱き寄せ
   る里井の肩に、桜の花びら舞い落ちる。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
シナリオ】 | CM(0) | top↑
【シナリオ1-6】魅力ある叔父さん「夕焼け」
<人 物>
 田辺勇治(23)フリーター
 吉田昭夫(40)勇治の叔父
 田辺寿美子(49)勇治の母親

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○田辺家・居間
   田辺勇治(23)が肩から鞄を下げ居間に入
   ってくる。テーブルの上の菓子パンの
   袋を開け立ったままかぶりつく。
   台所で皿洗いをしている田辺寿美子(49)
   そんな田辺を見てため息。
寿美子「あんたいい加減ちゃんと就職したら?
 フリーターにする為に大学行かせた訳じゃ
 ないのよ?一年もフラフラして、家にお金も
 いれないで…そんなんじゃあんた、昭夫み
 たいになっちゃうわよ」
田辺「いーじゃん、おじさんみたいな生き方
 もさ。俺、憧れるなー悠々自適で」
寿美子「あんたねえ、40過ぎても独り身で定
 職にもつかずにフラフラフラフラしてる昭
 夫なんかのどこがいいのよ」
   田辺、パンを口の中に収め袋をテーブ
   ルの上に放る。もぐもぐしながら鞄か
   らiPodを取り出しイヤホンを耳に
   あてるとそのままドアを開け居間から
   出ていく。ドアを閉めた拍子に空の袋
   が床に落ちる。

○コンビニ・出入口・外(夜)
   自動ドアが開き田辺が出てくる。
田辺「お疲れ様でしたー」
   駐車場にとめてある自転車に跨る田
   辺、動き出そうとすると向かいの通り
   を歩いている吉田昭夫(42)を発見。
田辺「(手を振りながら)おじさーん」

○ファミレス・店内
   吉田の前にはハンバーグとライス、ア
   イスコーヒー。黙々とがっつく吉田を
   見ながらホットコーヒーをすする田辺。
田辺「夕飯まだだったんだ?」
吉田「ああ」
   壁にある時計11時45分をさしている。
田辺「…あのさ、おじさんてなんか夢とかや
 りたいこととかあるの?」
吉田「(食べ続けたまま)別に」
田辺「ふーん。じゃあ結婚は?しないの?」
吉田「(ストローをくわえながら)しない」
田辺「毎日楽しい?何のために生きてんの?」
吉田「さあな」
   吉田、コーヒーを飲み干し立ち上がる。
吉田「じゃ」
   テーブルの上に置かれたままの伝票。
田辺「(伝票つかんで)おじさん!伝票」
吉田「(無表情で)ごちそうさま」
田辺「え…」
   振り返らずに出ていく吉田の後ろ姿。
   田辺、伝票をぎゅっと握りしめる。

○ビル・出口・外(夕方)
   ビルから出てくるスーツ姿の田辺。ビ
   ルを見上げてため息、肩を落とす。
   ふと雑踏の中、吉田の後ろ姿見つける。

○商店街(夕方)
   人込みをかき分ける吉田、後追う田辺。

○住宅街・坂道(夕方)
   涼しい顔の吉田。息切らせている田辺。

○公園(夕方)
   入口でキョロキョロしている田辺、公
   園の中に吉田の後ろ姿見つける。その
   向こうは開けていて町を一望できる。
   ビルの間からのぞく真っ赤な夕焼け。
田辺「ここの夕日を見るのが日課なんだ」
   田辺、吉田の肩越し夕焼け眺めている。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
シナリオ】 | CM(2) | top↑
【シナリオ1-5】一年後「靴の踵」
<人 物>
 村里隆司(21)大学三年生、ファミレスバイト
 町田光太郎(33)村里の働く店に来た新店長
 安井友也(21)大学三年生、村里のバイト仲間

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○ファミレス・店内
   村里隆司(21)と安井友也(21)が手にトレイ
   やふきんを持ったまま話をしている。
安井「そいや今日から新しい店長くるって」
村里「(ふきんを振り回しながら)ふーん」
安井「何だよ、食いつきわりぃなぁ」
村里「誰が店長でも俺らには関係なくね?」
安井「まあな。気に入らなきゃやめればいい
 だけの話だしな。所詮バイトだし」
村里「(笑って)そうそう」
   窓の外、舞っている桜の花びら。

○ファミレスの前・桜の木・全景

○同・桜の木の下
   風が吹き桜の花びらが、腕組みをしな
   がら店の方を見つめている町田光太郎
   (33)の肩の上にヒラリと舞い落ちる。

○ファミレス・店内
   学生や家族連れで賑わう店内。料理を
   運んでいる村里の足元、靴の踵を踏ん
   でいる。それを遠くから見ている町田。

○同・厨房
   空いた皿をさげてくる村里。
町田「村里、お前踵踏んでんじゃねーよ」
村里「(町田を睨みつけて)は?」
町田「ちゃんと靴はけよ。お客様に失礼だろ」
   村里、町田を無視して厨房に出ていく。

○ファミレス・店内
   トレイの上のかき氷、半袖の制服姿で
   運ぶ安井。笑顔で提供。食べ終わった
   皿を下げ厨房に戻る途中、町田に声か
   けられ笑い合っている。村里、その様
   子を、遠くで見ていて舌打ち。足元は
   靴の踵を踏んだまま。
安井「(村里とすれ違いざま)あの人超いい
 人だぜ。お前もちゃんと話してみたら?」
村里「(目線そらして)丸め込まれやがって」

○ファミレス・入口・外(夕方)
   傘閉じてコートの雪払い落とす女性客。

○同・更衣室
   着替えている村里、町田入ってくる。
町田「お前、就活うまくいってるのか?」
村里「店長には関係ないじゃないですか」
町田「関係なくねーよ。お前がここで働いて
 る以上、面倒見るのが俺の仕事だからな。
 なあ、社会に出るのに一番必要なもんて何
 かわかるか?人からの信頼だよ。約束をち
 ゃんと守れるか、周りに気を使えるかどう
 か。ここでそういうこと、ちゃんとできて
 ないお前が、社会出て通用すると思うか?
 バイトをただの暇潰しで終わらせんなよ」

○ファミレス・入口・外
   ドアの外、満開の桜。入ってくる客。
村里「(笑顔で)いらっしゃいませ」
   ちゃんと靴をはいている足元。笑む町田。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
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【シナリオ1-4】出会い「上下関係」
<人 物>
 美崎信吾(22)シンガーソングライターの卵
 酒巻さゆり(36)美崎の下の階の住人、OL
 酒巻悟(6)小学一年生、さゆりの子供

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○桜木荘・205号室・浴室
   浴槽の栓を抜き排水する美崎信吾(22)

○同・洗面所
   鏡に向かって、歯を磨いている美崎、
   蛇口をひねり、水を勢いよく出す。

○同・浴室
   頭からシャワーを浴びている美崎の足
   元、床に水がたまっている。

○同・洗面所
   浴室から出てきる美崎、一歩踏み出す
   とピチャという音。
   床一面、水浸しになっている。
美崎「うわ!なにこれ!ヤベッどうしよう」
   バスタオルを腰に巻き、さらにバスタ
   オルを何本もとって床をふく美崎。
   玄関のチャイムが鳴り、美崎、下だけ
   スエットをはいて玄関に向かう。
   さらに鳴らされるチャイム。

○同・玄関・中(朝)
   美崎がドアを開けるとパンツスーツ姿
   の酒巻さゆり(36)が立っている。
さゆり「下の階の者ですけど、なんか上から
 水か漏れてきたんですけど」
   さゆり眉間にしわを寄せている。
美崎「すいません!よくわかんないんですけど
 風呂の水流した後シャワー使ったら床一面
 水浸しになっちゃって。大丈夫ですか?」
さゆり「もう止まってるならいいですけど」

○桜木荘・105号室・玄関前(夜)
   チャイムを鳴らす美崎。ドアが開くと
   酒巻悟(6)が出てくる。
美崎「あの…上の階の者なんですけど」
   奥からさゆりが出てくる。
さゆり「こら、悟、勝手に出ないの」
   さゆりの言葉に、舌を出し走って逃げ
   ていく悟。美崎に気づき、会釈するさ
   ゆり。
美崎「今朝はご迷惑おかけして本当すいませ
 んでした。これおわびにどうぞ」
   といってさゆりに紙袋を差し出す美崎。
さゆり「そんなの、いいですよ」
美崎「いえ、こっちが悪かったんで。あ、こ
 れプリンなんですけど、めっちゃうまいん
 で、食べて下さい」
さゆり「(笑って)じゃあ頂きます」

○桜木荘・階段
   階段を足取り軽く駆け上がる美崎の足。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
シナリオ】 | CM(2) | top↑
【シナリオ1-3】イライラしている人「高木家の食卓」
<人 物>
 高木織江(36)主婦
 高木辰也(32)サラリーマン、織江の夫

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○高木家・寝室
   ベッドの中、目覚めた高木織江(36)。隣
   にはまだ寝ている高木辰也(32)。起き上
   がった織江、ベッドの脇に丸まった黒
   い靴下を見つけため息、その黒い塊を
   人差し指と親指の先でつまみ上げる。

○同・居間
   居間のドアを開け入ってくる織江、何
   か踏んだ感触を覚え、床を見るとグレ
   −のスーツ上下が脱ぎ捨てられくしゃ
   くしゃになっている。
織江「またハンガーかけてないじゃない」
   舌打ちをしながらスーツを拾い上げ丸
   まったズボンを伸ばしたり、ジャケッ
   トの中に入り込んだ袖を出したりして
   それをソファーの背にかける織江。
   ふと視界に入るテーブル。用意してお
   いた夕飯は全てラップをかけたまま手
   つかず。ビールの空き缶だけが床に転
   がっている。織江は空き缶を拾い上げ
   ぎゅっと力を込めて潰してからゴミ箱
   に投げ入れる。が、ゴミ箱にあたり入
   らない上、ゴミ箱が倒れ中に入ってい
   たゴミが散らかる。織江、深いため息。
辰也「何か食うもんある?」
   ボサボサの頭であくびをしながら部屋
   に入ってきた辰也を見つめる織江。
織江「これが食べ物に見えないなら何もない
 わよ」
辰也「なんかトゲあるなぁ」
   黙り込む織江、辰也に背を向けたまま
   散らかったゴミを片付ける。辰也、背
   にかけているスーツに構わずソファー
   に座る。織江、舌打ち。
織江「昨日、何の日だったと思う?」
   辰也をにらみつける織江。辰也は思い
   出そうと首をひねる。それを見て部屋
   を出て行く織江、勢いよくドア閉める。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
シナリオ】 | CM(4) | top↑
【シナリオ1-2】迷っている人「雪の中の…」
<人 物>
 笹木有美子(23)OL
 米崎美加(22)フリーター・有美子の友人
 松本弘樹(25)有美子の恋人

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

○原宿・横断歩道前
   信号待ちしている笹木有美子(23)と
   米崎美加(22)。コートのポケットから
   携帯を取出し待受を開く有美子の右手
   の中指には指輪が光っている。ため息
   つき携帯閉じてポケットにしまう有美子。
美加「電話してあげたら?」
有美子「なんで私から?悪いのはあっちだよ」
美加「そーやって意地はってると、大事なも
 んなくすよ?」
   美加の言葉に黙り込みうつむく有美子。
   信号青になり人が一斉に動き出す。向
   かいから手をつなぎ笑い合う男女。す
   れ違い様、聞こえる女の声。
通行人女「なんか今日雪降るらしいよ〜」
   有美子、曇り空見上げながらぎゅっと
   唇かみしめポケットの中の携帯電話
   を握り締める。
美加「ちょうど去年の今頃も雪降ってたよね。
 ファーストキスは雪の中だっけ?」
   有美子、悪戯っぽく笑う美加を見て瞳
   潤ませ、携帯取出し、発信ボタン押す。

○表参道駅・出口
   階段駆け上がってくる松本弘樹(25)見
   上げた空から舞い落ちてくる雪。携
   帯の着信音鳴り、待受見て笑む松本。

○表参道・横断歩道前(夜)
   手をつないだ男女、薬指にも指輪光る。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
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【シナリオ1-1】身辺雑記「どうしても起きられない」
<人 物>
 岡田智(27)派遣社員
 中村良太(23)智子の勤務先アルバイト

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○オフィスビル・玄関(朝)
   ビルを見上げて大きくため息をつく岡
   田智子(27)。後ろから走ってくる中村良
   太(23)が、智子の肩をポンとたたく。
中村「おはようございます。また朝からため
 息ですか?幸せが逃げますよ」
   智子、振り返って中村の顔を見て、も
   う一度ため息をつく。
智子「幸せならとっくに逃げてる気がするん
 だけど・・・」

○オフィス内
   隣同士席についている智子と中村。中
   村の横のチーフの席、不在。
   時計11時45分をさしている。
   ホワイトボードには出勤表の文字。名
   前と数字の一覧で数字は全員10。
中村「今日は何時にきますかね」
智子「さあね…どうせ午後でしょ」
   智子、中村の顔を見ずに答える。そん
   な智子の横顔を見つめている中村。

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THEME:創作シナリオ - GENRE:小説・文学
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お久しぶりです。
連休中、名古屋・大阪・京都を旅したり
その後は仕事で日々疲れ切っていたりで
詩も小説もまったく書く余裕のない日々…(汗)

普段はそれこそ毎週シナリオの課題をやっていて
それだけで終わってしまうし。

てことで。

それならシナリオをここで載せていこうと思いまして。
しばらくはシナリオをただアップするだけになっちゃう
かもですが、そんなでもよければ遊びにきてくださいませ。

今は毎週20字×10行×20枚の20枚シナリオを毎週書いてますが
まずは8週間講座でやった10枚以下の課題を順番にアップしていきます。
よかったら感想など残していっていただけると嬉しいです。

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Author:yayowitch
喜怒哀楽が激しいけど よく更新STOPするけど 私なりに、ことばを 紡ぎ続けます… どうぞよろしく★
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